Tech Blog
  • HOME
  • Blog
  • 投稿多数御礼! Zennfes Spring 2026 をまとめました

投稿多数御礼! Zennfes Spring 2026 をまとめました

公開日:2026.07.30 最終更新日:2026.07.30

スパイス犬

こんにちは、スパイス犬です。
2026年5月11日から6月27日まで開催された「Zennfes Spring 2026」では、AmiVoiceにたくさんの関心を寄せていただきありがとうございました。参加させていただいて本当によかったとスタッフ一同で実感しているところです。

フェスの企画で「音声認識AmiVoice APIと生成AIで作る音声体験」というテーマにて、音声認識の実装事例や知見を募集させて頂いたところ、投稿数70件以上という、予想をはるかに超えた結果となりました。投稿いただいた方、記事を読んでいただいた方、実践いただいた方等々、まことにありがとうございました。

投稿いただいた記事は以下のサイトよりご確認いただけます。
記事投稿コンテスト「音声認識AmiVoice APIと生成AIで作る音声体験」 | Zenn

今回のブログでは、この投稿から頂いた「私たちの気づき」を紹介していきたいと思います。



1 AmiVoice APIの機能別投稿数

どんな機能・非機能に着目して評価検証・アイディア出しを頂いたのでしょうか?

日ごろからお問い合わせの多い単語登録が多かったですが、色々な機能を使っていただいたという印象です。AmiVoiceAPIの特徴の一つでもある感情分析が多かったのはちょっとうれしいです。

感情のいらない無機質な現代社会に生きていると思っていた私は思い過ごしだったのですね。AIに備わっていないものの代表格である「感情」ですが、感情分析機能によって「人の感情を理解できる」ようになる日は近そうです。

2 使用した音源媒体

どんな音源を音声認識頂いたのでしょうか?

こちらはリアルタイムのマイク入力が過半数を占めました。
2番手も既存録音ファイルということですので、コンテスト用にサンプルの音声が多かったのだと思います。実運用では、現場の音や動画コンテンツ由来が多くなってくることでしょう。



3 AmiVoiceと一緒に使われたアプリ、フレームワーク、ツール、API

どのような外部システムがAmiVoice APIと一緒に使われたかを、タグクラウドで可視化してみました。今回のテーマどおりに生成AIが前面に来ました。その他、開発系のミドルウェアやツールが出てきました。開発ツールに対する皆さんのこだわりもわかりました。

4 興味深いポイント

ここからは投稿いただいた記事内で興味深く気になった情報を紹介します。

4-1 ノイズ・フィラーで認識品質が崩れる問題

発話以外の要素をどこまで落とすか、またフィラー(「えー」「あのー」など)を残すか消すかについては、複数の投稿で議論されていました。

フィラーを残すべきかどうかは、ユースケース次第です。議事録のように取り除いた方が読みやすいケースもあれば、話者の迷いや感情の分析では重要な情報になるケースもあります。また、「どこまでをフィラーとみなすか」自体が意外と難しく、その判定や扱いが音声認識の品質を左右することもあります。
今回の議論を通じて、フィラーの扱いが多くの方に共通する悩みであることを改めて理解できました。AmiVoice APIのハイブリッドエンジンは、フィラーをフィラーとして出力するか、除去するかを選択できる点が特徴の一つです。実際のユースケースごとに求められる要件も異なるため、ぜひ皆さまの活用事例やご意見を、今後もお聞かせいただければ幸いです。

4-2 認識結果をそのままLLMに渡すと誤要約・誤判断になる問題

間違ったものを堂々と渡すとその後の処理がずれていく。これは伝言ゲームのイメージですね。

そこで「なんだか自信なさそうに話しているな」といったニュアンスを拾えないか、ということで、AmiVoice APIが認識結果の属性として返している confidence の値をLLMに渡し、判断材料として活用するケースもありました。
confidenceを活用いただけているのは、音声認識ベンダーとしてもうれしいポイントです。
私たちとしては、W杯オランダ戦で鎌田大地選手が見せた、ゴールへと軌道をわずかに変えたヘッドのように、LLMの手前で少しだけ価値を付加し結果を変える「AmiVoiceの1ミリ」を提供していきたいと思っています。

4-3 データ保護・ガバナンス(ログ保存方針、マスキング、公開前チェック)

こちらは、音声データという一次情報をどこまで保存するか、そしてそこに含まれる個人情報をどの段階でどのようにマスキングするかという課題です。

これは音声認識の精度とは別の問題であり、正しく認識された場合でも、認識されなかった場合でも考慮が必要だと感じています。音声が一度テキスト化されると、検索やコピー、共有が容易になり、情報が独り歩きしやすくなります。
例えば、電話音声には氏名、住所、電話番号といった個人情報が含まれる可能性があります。これらをどのタイミングで検出し、どのように保護するかは、音声取得、認識、保存、活用といった各段階で検討すべきテーマです。
また、認識誤りによって“誤った事実”が生成されるリスクもあります。極端な例ですが、お茶の間で見ているニュース速報に突然自分の名前が表示されたら困りますよね。情報の正確性はもちろん、不正確な情報が拡散されることへの対策も重要です。
システム開発の観点では、大切なAPIキーや認証情報を漏えいさせない構成について言及されている方が多くいらっしゃいました。音声認識システムもAIシステムも、最終的にはソフトウェアとインフラで構成される以上、セキュリティ設計は欠かせません。
一方で、適切なアクセス制御や暗号化、監査ログ、データマスキングなどを組み合わせて堅牢なシステムを構築できれば、人が直接音声を取り扱う運用よりも、むしろセキュアな仕組みを実現できる可能性があります。
このあたりは、まさにエンタープライズ用途における腕の見せ所です。音声認識の精度だけでなく、「どう安全に扱うか」まで含めて価値を提供していく必要があると改めて感じました。


4-4 ノーコードツールへの音声認識機能の組み込み

AIエージェントが普及したとしても、ワークフローそのものがなくなることはないと考えています。ワークフローを設計したり、実行したりする主体が人からAIエージェントに変わっていくことはあるでしょう。しかし、業務を定義するワークフロー自体は引き続き必要です。

ノーコードツールは、そのワークフローをより簡単に構成するための有効な手段です。さらに、モジュール化された音声認識機能をワークフローの中に組み込むことができれば、多くの人が使える業務システムとして展開しやすくなり、大きな省力化につながると考えています。
今回はkintoneに音声認識を組み込んだ事例をご紹介いただきましたが、このような取り組みはまだ始まりに過ぎません。現場には、業務ごとに独自の運用やルールが存在し、標準パッケージだけでは対応しきれないケースが数多くあります。そうした業務を素早くシステム化し、継続的に改善していく基盤として、ノーコードツールは今後さらに重要になっていくと考えています。

4-5 ユーザー辞書が有効な例 

私たちもこれまで、ユーザー辞書を活用すべき条件についていくつか発信してきましたが、今回あらためて具体的なソリューションや利用シーンをご共有いただき、その有効性を再認識しました。
少し補足もさせていただきましたが、特に以下のようなシーンではユーザー辞書が効果を発揮すると考えています。

医療メモ であれば 病名、薬品名、検査名
金融・保険の通話であれば、 商品名、契約名、専門用語
学習教材 であれば、 偉人名、地名、公式

加えて興味深かったことは航空無線用語の登録です。(こちらも少し補足しています)

Cleared:着陸許可 Runway 34, cleared to land – 「34番滑走路への着陸を許可します」
Hold short:滑走路手前で停止  Hold short of runway 34. – 「34番滑走路の手前で待機せよ」
Go around:着陸復行 go around, climb and maintain three thousand feet. – 「復行して3000フィートまで上昇してください」


これらの用語が聞き間違えてほしくない重要な言葉であることは、一目でわかります。
ユーザー辞書や単語強調を活用し、重要な音声指示を確実に捉えていただきたいです。

余談ですが、
英語圏ではスペルの聞き間違いを防止するための”NATOフォネティックコード”というのがあります。
銀行などとの通話で
「A for Apple, M for Mike、I for India….. 『You are “AMI”
なんてフレーズでオペレータから復唱確認されることがあります。
これって日本の電話では聞いたことはないなぁと思って調べたところ、NTTなどに”通話表”というのがあり
「朝日のア、みかんのミ、ボールのボいろはのイ、すずめのス の『アミボイス』」
だそうです。

5 最後に

重ねまして、Zenn Festへのご参加・ご関心をいただき、誠にありがとうございました。
当社では、イベント期間に限らず、音声認識やAIに関する有用な情報を継続的に発信してまいります。
現場でのお困りごとや、「こういうことはできないか」といったご相談がありましたら、ぜひお気軽にお知らせください。皆さまの声を、今後の情報発信やサービス改善に生かしていきたいと考えています。



投稿いただいた記事はこちらでお読みいただけます。
記事投稿コンテスト「音声認識AmiVoice APIと生成AIで作る音声体験」 | Zenn

使ってみたいと思われた方はこちらから。毎月各エンジンを60分無料でご利用いただけます。
Speech to Text – AmiVoiceの音声認識API・SDK(アミボイス)

この記事を書いた人

  • スパイス犬

    柴犬とインドカレーをこよなく愛する“ブラウンカラー”エンジニア。日々の暮らしにスパイスを加えたいという思いから、心機一転、音声認識の世界に飛び込みました。
    最近、愛犬がスバル車のエンジン音を聞き分けることに気づき、犬の聴覚を音声認識技術に活かせないかと密かに妄想中です。

APIを無料で利用開始