株式会社シムトップス様では、製造業・建設業・保守サービス業など4,500社以上の現場で活用される電子帳票ソリューション「i-Reporter」を企画・開発し提供しています。高所・狭所での作業や手袋着用時など、両手がふさがる現場環境において「タブレット入力の限界」をどう乗り越えるかという課題にどのように向き合い、AmiVoice SDKがその解決にどのような役割を果たしているのか、採用の背景と導入後の効果についてiOS/Androidアプリ開発マネージャーの稲葉 温弘様に伺いました。
課題背景
高所・狭所・手袋着用で、手によるタブレット入力は困難
i-Reporterは、紙帳票をそのままデジタル化し、現場業務の入力・報告・管理を効率化する電子帳票ソリューションです。製造業を中心に、建設・建築・ゼネコン、保守サービス業やメンテナンス業など幅広い業種で4,500社以上のお客様にご利用いただいています。タブレットを使った現場帳票のソリューションとして多くの現場に展開してきましたが、高所や狭い場所での作業中は両手がふさがってしまい、画面をタップする操作ができない、などのように、どうしても対応が難しいシーンがありました。手が汚れていたり、工具や測定器を持ちながらだったり、手袋をしたままだったりと、手による入力が困難な状況は現場に多く存在します。「作業を止めずに入力したい」「作業しながらでも記録できるようにしたい」というお客様の声は以前からいただいていました。これがi-Reporterに音声認識を組み込もうと考えた直接のきっかけです。

導入の決め手
認識精度の高さとオフライン動作の両立が採用の決め手
音声認識エンジンの選定にあたって最初にAmiVoiceを候補に挙げたのは、長年のノウハウとデータ蓄積による日本語認識精度の高さに定評があったからです。実際に各種テストを重ねた結果、現場で使用できるレベルであると判断し、採用を決めました。
実際に使ってみて特に良かったのは、オフラインで動作しながら認識精度が非常に高い点です。i-Reporterの現場ではネットワーク環境が整っていないケースも多く、クラウドに依存しないオフライン動作は必須条件でした。また、端末を胸ポケットに入れたままでも安定して認識してくれる点は想定以上でした。音声認識を使う場面というのはまさに「手で操作できない現場」ですが、口元に近づけてはっきり話さないと認識されないエンジンでは本末転倒です。その点、AmiVoice SDKは実際の使われ方に即した精度を発揮してくれています。
ちなみに、他社の同様の音声操作機能を持つ製品について、どのエンジンを使っているか確認したところ、やはりAmiVoiceでした。この分野では事実上の標準になりつつあるのではないかと感じています。

導入の効果
「2人作業が1人で完結」を実現。アンサーバックと辞書登録で、精度だけでなく”確実性”も担保
お客様の現場でその効果を直接目にする機会がありました。大きな資材に刻印された情報を記録する際、これまでは「読み上げる担当者」と「メモを取る担当者」の2名が必要でしたが、音声入力によって1名で完結できるようになったのです。実際にその様子を現場で見せていただきましたが、人手の確保が難しい現場において省人化に直接つながっているという実感を持ちました。
音声認識の精度そのものはAmiVoiceのおかげで高い水準にありましたが、私たちが開発で苦慮したのは「音声ならではの操作の確実性をどう担保するか」という点でした。手操作と違い、音声入力では「正しく入力できたか」がわかりにくいのです。そこで、入力が成功したときにスピーカーから内容を読み返す「アンサーバック」という仕組みを実装しました。読み返すタイミングや言葉、そのカスタマイズ性まで何度も仕様を検討し、手操作と大きく変わらない確実性を実現できたと考えています。
もう一つ苦労したのが、言葉の「読み方」の多様性です。たとえば「205」という数字一つとっても、数値として読めば「にぜろご」、部屋番号として読めば「にまるご」と変わります。「-(ハイフン)」も、記号として読めば「ハイフン」、郵便番号の区切りなら「の」です。これらをあらかじめすべて網羅することは難しいため、利用者ご自身が現場に合わせて辞書登録できる仕組みを用意しました。現場ごとの「言葉のルール」を利用者の方自身が育てていける構造が、実運用での大きな支えになっています。開発・検証フェーズでも工夫がありました。動作確認のたびに開発者が長時間話し続ける負担が大きかったため、発話を代行するWebアプリを自分たちで内製し、テストの効率化を図っています。
こうした地道な検証の積み重ねが、現場で安心して使っていただける品質につながっていると感じています。
サービス概要

i-Reporterは、紙帳票をそのまま電子化し、現場業務の効率と品質を大きく向上させるソリューションです。手書き・写真・音声入力など多彩な入力方式により、現場の負担を最小限に抑えながら正確なデータ収集を実現します。入力チェックや必須項目設定によるミス防止、報告・集計・共有の自動化まで、現場業務の一連のフローをカバーしています。
オフライン対応により工場や屋外現場でも安心してご利用いただけるほか、既存のExcel帳票をそのまま活かしながら短期間で導入できるため、現場DXの第一歩を低コストで踏み出せるツールとしてご好評をいただいています。

| 社名 | 株式会社シムトップス |
|---|---|
| 事業内容 | ソフトウェアアプリ・システムの開発・販売ほか |
| URL | https://cimtops.com/ |